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第10話 卒業

式が終わりまだ校内には卒業生や在校生が残っていて別れの挨拶をしていた。 僕達も中庭に集まって芝生に座り話をした。 時間がこのまま止まれば良いのにというくらい楽しい。 「本当に今日で卒業なんだよなぁ〜」 「ウサちゃんが居なくなると寂しくなるよ」 「嬉しい事を言ってくれますね。ゆづさん」 本当にそう思ってるんだよ。 昔から僕の事を心配して助けてくれたウサちゃんとクマちゃんが居なくなるのは寂しいよ。 以前よりも人の優しさに触れたから余計にそう感じるんだと思う。 「俺達が居なくなっても2年に信頼できる奴が居るから何かあったらそいつらに相談してください」 「うん。でも大丈夫だと思う。僕には心翔が居るから平気だよ」 「余計な心配でしたかすみません。けど惚気にしか聞こえないですよゆづさん」 「えっ?そんな惚気て無いよ」 惚気て無いよ。 きっと心翔もそう言うと思うんだけどと不安になって心翔を見ると優しく笑いかけてくれた。 やっぱり、心翔も同じ様に思ってくれていると感じて凄く安心出来た。 「天月と橘の事はトラジが頼んであるから必ず何かあったら言えよ。周りに頼れよ」 「はい。ありがとうございます」 賢吾君は天使ちゃんの手を握りしめてウサちゃんに頭を下げた。 2人には辛い思いをさせたくないんだ。 それは僕の周りにいる人達にも辛い思いをして貰いたくないと思っている。 僕に出来ることがあればどんな事でもするよ。 心翔に心配させない様にだけどね。

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