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第19話 卒業

部屋に入ると皆んなが揃っていて楽しそうな笑い声がしている。 なんか凄く胸が熱くなる。 「遅いですよ。ゆづさん」 「それを龍が言うのか?」 頬杖をついてウサちゃんの頬をムニュッと摘みながら悪戯に笑う冬空君がいる。 ウサちゃんは顔を真っ赤にして大人しくなってしまった。 恐るべしは冬空君。 「なんか逆上せちゃったみたいでごめんね」 「良いから座れよ」 「うん。心輝ありがとう」 心輝が入り口近くの空いている場所を指差して笑った。 僕と心翔は席に座るとウサちゃんがイキナリグラスを持ち立ち上がった。 「ようやく、皆んなが揃ったんで乾杯をしたいと思いますのでグラスを持ってください」 「なんの乾杯をするんだよ龍」 「いいから、持ちましたか?では、これまでいろんな事を乗り越えて来た仲間との学校生活が終わりを告げました。これまでありがとう。それから、これからもよろしくって事で・・・・・・乾杯!!!!!」 皆んなが一斉にグラスを合わせるカチャカチャとガラスが当たる音が聞こえてくる。 なんだろう。 ウサちゃんとの思い出が一気に思い出されて目に涙が溜まり出して泣きそうになっていたんだけどね。 「うわぁ〜んっっ!!!!!」 まるで小さい子が泣いている様に天使ちゃんが泣き始めた。 隣で賢吾君がアタフタしながら言い聞かせる様に宥めている姿を見たら僕の涙は止まってしまいました。

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