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第20話 卒業

「天月が泣いてどうすんだよ。宇佐先輩とかあまり長い付き合いじゃないだろう?」 「だって・・・・ヒクッ・・・・・少しでも仲良くしてもらえたから・・・・・」 心輝が冷たく天使ちゃんに言うと涙を擦りながら心輝の質問に答えた。 少しの時間だろうが長期だろうが仲間には違いない。 そう言うと皆んなは頷いてくれた。 「それより、天月の事は橘に任せて早くご飯食べようぜ!」 お刺身の盛り合わせは、お皿の代わりに船の上に置かれている。 僕、雑誌とかテレビでしかみたことがない。 凄いよ。 テレビで観たりしたお料理が並べられていて嬉しくてニヤニヤと笑ってしまっていた。 「優ちゃん。嬉しそうだね」 「あっ、うん。僕、家族旅行とか行った記憶が無いからこんなお料理が並べられたの見たら嬉しくなったんだ」 旅行は行っていたかもしれないが上手く思い出せないことに気付いてしまった。 それは父親に受けた事が僕の中で消したい物になったのだとしたら考えられる事かもしれない。 「優ちゃん、記憶が無いのか?」 「多分だと思う。考えても旅行行った記憶がなくてでもね本当に行った事ないかもしれない」 泣いていた天使ちゃんが泣き止んで僕の顔を不思議そうに見た後、周りを見渡してやっぱり不思議そうに見ている。 この場で僕の事を知らないのは天使ちゃんと賢吾君だけだもんね。

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