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第1話 露天風呂 Side宇佐

本当に卒業したんだな俺。 もう今いる皆んなと俺だけが違う道を歩みだすんだと思うけれどまだ実感がわかない。 ただ春休みで皆んなと旅行に来ている感覚でいた。 実感するのは四月からなのかな? 「龍、露天風呂入るか?」 「そうだな、夕食迄にはまだ時間があるから少しだけ入ろう冬空」 「長湯して逆上せるなよ龍」 「分かってる。じゃあ、一緒に入ろうぜ冬空」 冬空に嫌がられると思っていたが無言で立ち上がり冬空は着ている浴衣を脱ぎ始めて下着一枚といった姿で俺の座ってる目の前に立った。 「入んないのか龍」 「あっ・・うん。入るよ」 「なら脱げよ。俺だけだと恥ずかしいだろ龍」 冬空は座ってる俺の腕を掴んで立たせようとする。 いつもよりもグイグイと来る冬空に俺は少しだけ狼狽えた。 それに俺がビビっていたのはいつもよりも俺を見る目が獲物を捉えようとしている肉食系の動物みたいだったからだ。

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