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第6話 ある日の出来事 Side心翔

暖かくなったとはいえ風が吹くと少し肌寒さを感じる。 「この辺にしないか?」 「うん。暖かくて気持ちいいね」 「お腹減ったからご飯にしないか?」 「あっ、うん」 公園に着いた頃には12時を過ぎたくらいで俺は朝から何も食べていなかったのでお腹が空いていた。 優ちゃんと2人でランチBOXを広げていくと俺の好きな物がたくさん詰められていた。 「これ、優ちゃんが1人で作ったのか?」 「うん。ちゃんと味見したから大丈夫だと思うんだけどね。心翔の好きな味なら嬉しいかな?」 少し下向きで恥ずかしそうにしている優ちゃんを見ていると可愛くてそのまま押し倒したくなってしまった。 「可愛すぎだ優ちゃん」 「ちょっ、ダメだからね」 「残念。優ちゃんは後にして作ってくれたお弁当を先に頂きます」 「もうっ!心翔のバカ」 優ちゃんには俺の考えてる事が分かるのか2人の時なら許してくれるけれど外で誰かに見られるかもしれない状況ではキスもなかなかさせて貰えない。 せっかく女の子の姿しているのに? そっか、女の子の姿をしているのを忘れてる感じだな優ちゃん。 「これ、卵焼きね。だし巻きにしたの味は大丈夫?」 「うん。美味しいよ優ちゃん。本当にありがとうな怖い思いしなかったか?」 「うん。怖くなかったよ」 俺の為にナイフとか包丁とか怖いはずなのに指だってカットバン貼ってるの俺は気づいてたよ。 平気なフリをして笑う優ちゃんが可愛くて愛おしい。

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