5 / 9
第5話
side:弓月
「んー、気づいちゃったかな…貴澄」
貴澄とは、僕の恋人で男とは思えない程可愛らしい後輩だ。
僕には勿体無いくらいのイイ子。
本当に勿体無いぐらいー…
貴澄が寝室から出てった後、自分の鎖骨辺りにキスマークがあったのに気づいた。
ハッキリ言って、アレが貴澄にバレタかと一瞬肝を冷やしたが、部屋を出るとき普通に笑顔だったし気づいてはいないだろう。
ただでさえ鈍ちんなのだから。
これを友人の裕哉に知られたら咎められるだろうし、本当に好きなのかと問われるだろう。
でも、貴澄が好きなのは本当だし別れる気もない。
自分でも最低だと思う。
でも、仕方がないとも思う。
だって僕だって男だし、聖人君子じゃない。
だから、これは許容範囲だー…
そう思い込んで、僕はまた今日も貴澄に何事もなかった様に笑いかける。
貴澄がどう思っているかなんて考えもせずに。
そして、それに後悔するのも暫く後の話ー…
ともだちにシェアしよう!