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第13話

「河原がどうしてそんな格好してるのか気になって」 「…大した理由じゃない、普通の高校生活がしたかっただけだ」 そっか、河原芸能人だからな…普通に憧れるのか。 俺も芸能関係のバイトをしていろんな芸能人を見た事あるが、皆大変そうだったな。 普通に買い物に行っても芸能人を演じなきゃいけないとか… なら俺も河原の正体を隠す手伝いぐらいはしたいよな、素顔見てしまったわけだし… 河原が何の芸能人か分からないのは幸いかもしれない、変に失言しなくてすむし… 河原って俺にバレた時もそうだし、なんか抜けてるから危なっかしいよな。 「俺も出来るかぎり協力するよ」 「ん、サンキュー」 少し河原と仲良くなれただろうか。 …もう何度もキスをした仲ではあるが、いまいち俺と河原の関係が分からない。 男同士でキスとか友達で絶対しないよな。 ……しない、よな? 始と紫乃とは勿論しない、二人は恋人同士だし……そもそもしたいとも思わない。 それは他のクラスメイトも同じだ。 でも何故だろう、河原にされると拒めない…河原に触られた時も嫌だとは感じない。 もしそれが他の奴だったら… 食堂で食べてる生徒を適当に選び妄想してみた。 「どうした、いきなり下を向いて」 「……いや、なんか気持ち悪い」 「は?おい、大丈夫か!?」 「大丈、ぶ…」 ちょっと気持ち悪くなっただけだから水を飲み落ち着かす。 普通に鳥肌立った、あり得ない…もし同じ状況だったら蹴飛ばして逃げる。 そう考えるとますます変だ、なんで…河原にだけ? 河原が美形だから?いや、そうじゃない…俺は顔とか正直どうでもいいし… 心配してこちらを見る河原にキュと胸が苦しくなった。 よく紫乃が始がメガネを掛けた姿と外した姿のギャップが可愛い!と言っていたが、これがギャップか? 普段は俺様のくせに、俺が具合悪くなると心配してくれる。 ……河原はなんで、俺に触ったんだ? 「河原、なんでお前…俺のに触ったんだ?……男のに触れるのか?」 「…………あのなぁ、さっきから俺が誰にでもするみたいに言うけど別に男が好きなわけじゃない、むしろ頼まれてもキスしないし触りたくもない」 「俺は別に頼んでない」 「…そうだな、俺にもお前と他人の違いがよく分からない」 答えになってない。 つまり河原がキスも触ったりしたのも俺が初めてって事か? 女との経験はありそうだが、男では初めてなのか。 ……喜ぶ事じゃないがなんかモヤッとする。 俺は女経験なんてないから全て初めてだったのに… 河原も同じなんだな、俺も他人と河原の違いが分からない。 嫌がらせでしたわけじゃないと分かり少しホッとした。 金が好きだが金払うからキスさせてと言われても絶対にしない。 でも、河原とは金のやりとりなしでしたい。 ……………ん? 「そろそろ行くか」 「…お、う」 河原が立ち上がり俺も慌てて着いていく。 なんだ、なんでさっきキスしたいなんて思ったんだ? 相手は男で…長身な俺様で… 頭を抱えて悩む俺は河原がこちらを見ていた事に気付かなかった。 部屋に戻り、河原が先に風呂に入ってる間に自室の整理をする。 デートスポットの本とかどうするか、また恋人が出来た時のためにとっとくか…あの子の事忘れられるほどの恋が出来たら良いけどと床に適当に置いていた本を本棚に戻す。 とりあえずこのくらいかな、掃除機とかはまたこの次に掛けよう。 風呂場が開く音がしてドキッとする。 男にドキドキするとか、絶対に変だ。 …病気だろうか。

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