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第16話

河原に言われ力を抜くとゆっくり挿ってきた。 圧迫感が指よりもきつくて苦しかったが、河原が丁寧に広げたからか痛みはなかった。 河原も苦しそうな声を出している。 これじゃあお互い気持ちよくないよな。 せっかく受け入れたのに苦しいだけだとなんか損した気分だ。 一番嫌いな言葉だ、損とか… 「か、河原…大丈夫か?」 「なんで俺の心配するんだよ、一番ヤバいのはお前だろ?」 「…いや、だって」 「もう少し馴染ませてから動く」 そう言い河原は馴染むのを待つ。 まだ亀頭しか入ってない状態で生殺しで大丈夫かよ。 息を吐き、落ち着いたのかゆっくりと腰を進める。 少し入り口が馴染んだからか圧迫感は薄れていった。 それと同時にムズムズする変な感じがした。 河原が深いため息を吐いた。 「…全部、入ったぞ」 「ま、マジか…」 アレが全部…人間の身体は本当に不思議だ。 ゆっくりゆっくり抜き差しされてゾクゾクするが、少し物足りないと思うのは変だろうか。 河原も好き勝手動きたいのに俺を気遣い我慢しているみたいだ。 河原の腰に合わせて自分も動かして見るとさっき電流が走った場所を擦ってしまいビクビクと精液を吐き出した。 河原より先にイクとか、屈辱だ。 どうせ河原は余裕そうに笑ってるんだろと思っていたら河原は起き上がり俺を枕元に押し付けた。 そしてさっきよりガンガンと突いてきた。 気遣いなんてない、理性が崩壊した動きだった。 「あっ、あんっ!かわは、らっ!だめだって…ふぅっ、ん、ん、またっ…イっちゃっ!!」 河原は何も言わず息を荒げて無我夢中で俺を犯す。 俺も弱々しい声を出してシーツを汚す。 なんだこれ、なんだこれ…気持ちいいのが止まらない。 知らない、こんな…頭が可笑しくなる事… 中がぐちぐちとやらしい音を出している。 誰に犯されてるのか分からない、河原の顔が見たい。 でも河原に押さえつけられてるから見えない。 河原は理性がない獣のようだし、何言っても通じないだろう。 「はぁはぁ、イッ…!!」 「あっあ、あぁっ…な、中…あつっ…」 何回イっただろうか、もう声もかすれてしまった。 想像以上に気持ち良かったが、依存性がありそうで怖かった……河原以外とは考えてないが、河原とが気になった。 涙が溢れてくる、河原はそれを優しく指で拭った。 さっきまで寝れる気がしなかったのに、今は疲れて眠い。 シーツ、どうしようかとボーッと考える。 河原に抱き抱えられてる感覚がふわふわして気持ちよくてうとうとする。 「全部俺がやるから、寝とけ」 河原にそう言われ頭を撫でられ瞳を閉じた。 怠い…明日バイトあるのに、大丈夫かよ。 そんな考えももう考えられなくなった。 ーーー チュンチュンと鳥の囀りが聞こえて目を開ける。 薄暗い室内にカーテンから眩しい光が射していた。 もう、朝か…… ベッドには俺しかいなくて、あれは夢だったのか…最近抜いてないし欲求不満だったのかなと思い起き上がる。 そして固まりそこから動けなかった。 冷や汗が出る、腰を酷使したように痛い。 ズキズキする。 しかもなんか尻の穴がヒリヒリする。 嘘だ、まさかあれは全部現実? あの怖いくらい感じた快楽も河原のエロい息遣いも、俺が河原にヤられた事も全部… 声を出そうとしたら掠れた声しか出なくて喉が痛い。 ずっと寝てるわけにもいかず、痛い腰を支えながら歩く。 ……河原は何処だ? 自室を出てリビングに向かうとコーヒーの良いにおいがした。 こぽこぽとお湯が沸騰する音が聞こえる。 キッチンには変装済みの河原がいた。 「なんだ起きたのか、まだ時間あるから寝とけ」 「…いや、二度寝とか怖すぎて無理」と言おうとしたら喉が痛くなり口を閉ざした。 昨晩はあんなに声を出したからな、思い出して顔を赤くする。 椅子に座りインスタントコーヒーを淹れる河原を眺める。 手際いいけど、料理とか出来るのか?…結構様になりそう。 河原は自分はコーヒーで俺には紅茶を淹れてくれた。 ホッとするいいにおいだ。 「喉にいいハーブティーだ、後これのど飴な…仕事上喉は大切にしてるから分けてやるよ」 のど飴も貰いテーブルに向かい合い紅茶を口にする。 ……美味しい。 だんだん喉も落ち着き「あ、あー」と声を出してみる、何とかなりそうだ。 河原は意外と優しい性格だよな、強引だと思ったら気遣ってくれて…シーツも体も綺麗になっていた。 そう変わらない身長の俺を運ぶの大変だっただろうに文句の一つも言わない。 だから俺もヤられた事に関して何も言わない、あれは合意だったしな。

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