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第18話

「そんな強く叩いたつもりじゃなかったけど、ごめんね!」 「…だらしねぇな、もやし」 「…………うるせぇ」 後ろから紫乃と始の声がして後ろを振り返る。 モロに腰に衝撃が伝わり一人では起き上がれそうもなくて二人で起こしてもらい紫乃に物凄く謝られたから笑って許した。 始の顔からして昨日あの後紫乃と仲良くやってて安心した。 でもあっちの方がまだみたいで二人にはいつもと変わらずの焦れったさを感じる。 バイト帰りに湿布でも買おうかなと思っていたら紫乃と始が俺の顔をジッと見るから「なんだよ」と不審そうな顔をする。 もしかしてまだ喉が変か?若干掠れてるけど… 「…い、いや…その…なんかあった?」 「優紀くん昨日と雰囲気違う?」 雰囲気?自分じゃよく分からないから首を傾げる。 昨日はなんかあっただろうか、いつもと違うというと河原と、河原と……… えっ!?あれでなんか変な雰囲気出してたか!? 顔を触ってみても分からない、河原も朝何も言ってなかったし… 廊下を歩く通行人の生徒達を見ると、顔を赤くする奴やトイレに駆け込む奴が続出していた。 …なんだ、何が起こってるんだ!?不安で顔が引きつる。 俺自身では変化は分からないから二人にすがるように見つめると始は言いにくそうに俺を見ていた。 「襲われたくなかったから一人にならない方がいいな」 「襲うって、そんな河原じゃないんだし…」 そこまで言いハッとなり口を手で塞いでこれ以上余計な事は言わないようにする。 …失言だった、ヤバい昨日の事を自分から暴露するなんて… 始をチラッと見ると分かってないのか「どうした?」と首を傾げていた。 鈍感な始で良かったとホッとして、紫乃を見て顔を青ざめた。 紫乃はニヤニヤした顔をしてこちらを見ていた。 始と違い紫乃は鋭い、これは完璧にアウトだ。 「へー、優紀くんがねぇー…そっかそっか、だから色気が凄いんだねー」 「紫乃どうした?俺にも説明しろよ」 「…童貞は黙れ」 「あ!?お前も童貞だろバカ優紀!」 俺と始は睨み合い紫乃だけが楽しそうに「恋の相談ならまかせて!」と言った。 恋?誰が?誰を?紫乃はいったい何の事を言っているんだ? え、俺?…俺が紫乃と始みたいに河原を好き? そんなまさかぁと本気にはしておらず始と睨み合いながら学校に向かった。 そんな事、ある筈ない……だって俺は普通に女の子が好きで…紫乃みたいな美少女顔ならまだしも、河原は美形だがどう見ても女の子には見えない。 そんな河原に恋をしたとか……そんな事…ない。

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