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第27話
「本当に世の中に似た人っているんだなって思ってさ」
「………………は?」
最初は真剣に聞いていた筈だったのに力が抜けたような顔になった。
俺だってビックリした、まさか飛鳥ほどの美形なんてそうそういないだろうと思ったら芸能人で、しかも妹が好きなアイドルとか世の中って狭いなぁ。
顔は同一人物っぽく見えるが性格が全く違うから別人だって分かる。
だって飛鳥は俺様でSっ気があって、変態だし…さっきのニュースだけしか知らないが緋色はニコニコしていて謙虚で好感持てるような頑張り屋だと思う。
飛鳥はアイドルに似てるとか言うと「あんな奴に似てるわけねぇだろ!」とか言いそうだから言えなかった。
飛鳥を見ると目を丸くしていた、怒る気配がなさそうだからとりあえず安心…か?
「飛鳥?」
「…あ、あぁ…まぁ別にいいけど」
「…?」
飛鳥はそれっきり、コーヒーをちびちび飲んでいた。
もしかして意外と満更じゃなかったりして…
あんなに似てたら飛鳥の素顔を知ってる人に言われ慣れてるのかも…
そういえば飛鳥も芸能人なんだっけ?
逆に言われ慣れ過ぎてウザくなってるのかもな。
緋色のそっくりさんとか言われたら俺だっらへこむ。
飛鳥も大変なんだな。
「兄弟?」と聞くと「違う」と言われた、一番可能性あったんだけどな。
スマホが着信音を鳴らす、見ると妹からだった。
…チケット取れなかったから直接お叱りの電話かな?と飛鳥に妹からだと断り電話に出た。
「…もしも」
『お兄ちゃん!壊れた!』
いや、兄は壊れてない…と突っ込みを入れたかったが興奮気味の萌は全く聞いていない。
「とりあえず落ち着け」と言うと数回深呼吸をして落ち着いたのか息を吐く。
…で、なにが壊れたのか。
萌の話によるとDVDレコーダーが壊れたそうだ。
萌は実家から高校に通ってるから実家のレコーダーはかなり古いから何時壊れても不思議じゃなかった。
とうとう成仏したかと他人事のように思う。
そして本題を切り出した。
『お兄ちゃんの寮ってDVDレコーダーある!?』
「…あー、確か管理人に言えば貸し出し出来るんじゃなかったか?」
『じゃあ借りて!緋色くん初ドラマが録画出来ないの!』
「いや、どうせテレビで見るだろ」
『何度も見たいの!…チケット』
萌が悪魔のような一言を言った。
そうだ、チケットの件があった……ドラマとか興味ないけど、仕方ない。
用件はそれだけだとすぐに電話が切れた。
ため息を吐く俺に飛鳥は苦笑いする。
隣にいるから電話内容筒抜けだろうな。
萌は緋色ファンだと伝えると「あんな猫かぶり何処がいいんだよ」と複雑な顔をしていた。
男なら普通はそういう感想だろうな。
それともやっぱり緋色をライバル視してるのか?
「緋色より飛鳥の方がカッコいいよ!」と言うと「…ヤりたい?」と聞かれ頭を叩いた。
飛鳥は密かに電話の元カノの正体を知りホッとしていた事を知らなかった。
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