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第33話

※三条優紀視点 雨が窓ガラスに当たり線を描き下に落ちていく。 リズミカルに何度も打ち付けられていき、やがて大きな音を奏でた。 ボーッとそれを見つめながらしながら窓ガラスを見つめる。 雨のにおいは嫌いじゃない、でも…外に出る気が失せるのはいただけない。 休みの日はバイトしたいけどどうも指が動かない。 机に顔を伏せながら取っ手に指を引っかけて引き出しを開ける。 積み重ねられた紙の一番上にあるあるものを取り出しにんまりと笑う。 始には悪いが雨の日はこれで儲けさせてもらうか。 封筒の中身を手のひらに落として一枚一枚傷を付けないように確認する。 うーん、これはいまいちピントが合ってないなぁ… おっ、これはなかなか…黙々と仕分け作業をしている。 「優紀、他の男の写真見ながらニヤニヤしてんじゃねーよ」 「いひゃいっ!!」 突然背後から頬をつねられて驚いて机に写真をばらまいてしまう。 いつも気配を消して背後に立つなって言ってるのに…飛鳥は忍者か? 変な声出ちゃったじゃねぇかと文句を言いたくなったが、ばらまかれた写真を一枚取られる。 あ、それは俺の一押しの写真…丁重に扱え! 微妙な顔をして飛鳥は俺と写真を交互に見る。 何だよ、言いたい事があるならはっきり言え。 「これ、上条だよな…なんでゴスロリ?」 「リクエストがあったから撮ったんだよ、丁度衣装が演劇部にあったから」 上条紫乃、俺の友人の一人でもう一人の友人の久我始の恋人。 我が男子校の姫と言ってもいいほど美少女顔だ。 だからか女に飢えた男達の中でも紫乃には変態なファンが多い。 しかし紫乃を可愛いだけだと侮ってはいけない。 バスケ部のエースでバリバリの体育会系で身長は始の方が高いが力は紫乃の方が上だ、文系の始が勝てるわけがない。 未だにどっちが上か争ってるようだが前みたいな喧嘩はなく俺達にはただじゃれあってるように見えていてほっといてる。 この写真は隠し撮りではなく紫乃に頼んで撮らせてもらったやつだ。 紫乃には報酬をちゃんとあげてるし本人はプチバイト感覚でノリノリだったりする。 しかし始は紫乃の写真が変態共の元に渡るのが許せないらしくいつも見つけては俺の写真を奪う。 現像だってタダじゃないんだ、なんとか始から逃れた数枚で金儲けを企んでいた。 俺がただ写真をばらまいているわけではない、始は分かっていないんだ。 紫乃に手を出さない代わりに写真を売っているんだ。 このペラペラで性欲発散するなら安いものだろう。 写真を買う奴もそれを了承している。 まぁ、怪力紫乃を押し倒せる強者なんてこの学校にはいないけどな。 「…写真か」 「どうした?飛鳥も撮ってほしいのか?」 「……」 飛鳥は写真を見ながらニヤッと笑った……なんか不気味だな。 飛鳥から写真を返してもらい、封筒に入れた。 飛鳥は気になるが明日の朝早く早速売りに行くか。 雨の日はいつも始は遅く登校する、起きられないそうだ。 だから雨の日は毎回写真売りをしている、始が登校するよりも前に… スマホの電卓で売上予想を計算する、普通のバイトよりは安いけどお手軽に出来るからやめられない。 飛鳥は誰かに電話してくると部屋を出ていった。 明日が楽しみだと微笑みながら雨の音を静かに聞いていた。

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