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第41話

教室に入るといつもの席に飛鳥はいなかった。 もうすぐHRが始まるのに… 俺と、もう顔を会わせたくないのだろうか。 ……嫌われてしまったのだろうか。 梅雨の雨が俺の心まで重く染み付いてくる。 その日は結局飛鳥は教室に来る事はなかった。 紫乃と始に飛鳥の事を聞かれたがなんて言えば良いのか笑って誤魔化した。 ちゃんと笑えていなかったのだろう、紫乃と始はそれ以上何も聞かなかった。 昼休み、食堂に向かった。 飛鳥が来る前は三人が当たり前だったのに、今は俺の隣に誰もいなくてなにか大切なものをなくしたように空っぽな気持ちのまま、昼飯を食べる。 今日は好物の一つでもあるラーメンを食べた……何故か味が感じられなかった。 放課後になり紫乃と始と一緒に寮に向かった。 「そうだ!今日はクレープ屋さんに行こうよ!」 「紫乃、悪い…今食欲ないんだ」 甘いものがあまり好きではないのに気を遣ってくれて明るく言う紫乃に申し訳なく思い断った。 友人達に心配掛けてダメだな、俺… こんな事になったのは全て盗撮犯のせいだ!そう思ったらちょっと楽になった。 早く捕まえよう、そして飛鳥に謝ろう!うん、これしかない。 俺は早々に二人と別れて水溜まりを踏みつけ寮に戻った。 飛鳥は仕事に向かったのか部屋に帰ってきた形跡はなかった。 こんな事したら飛鳥は怒りそうだから今は好都合かもしれない。 いや、今…微妙な感じだから怒らないかも… またネガティブになり気持ちを切り替える。 カーテンを全快に開ける。 夕方になったら雨は小雨になっていた。 …さすがに雨の日は撮影されないだろうか。 あの変態が持ってた写真は外からこんな感じのアングルだったよなと斜めに移動して窓を覗き込む。 風に揺れている木が見える。 ちょうど木の太い枝がこちらに伸びている。 大の男一人なら乗せられそうなくらいの太さでこれに乗って撮影したのかもしれない。 今までベランダなんて行かなかったし、気付かなかった。 今日のあの件がなかったらきっと一生気付かなかったのかもな。 木を切り落とすのは簡単だが、木には罪はないしなぁと悩む。 とりあえず今日は動きがなさそうだから明日にしよう。 …明日晴れればいいけどな。 窓越しで空を眺める。 ………飛鳥、帰って来ないのか? 夕食を紫乃と始と食べて帰ってきた。 飛鳥が帰ってくる事を期待したがやはりいなかった。 コーヒーを淹れてソファに座る。 テレビは見る気がしなくてコーヒーを飲んで時計を見る。 カチカチと針が時を刻み、ボーッとしながら静かな沈黙の中飛鳥の帰りを待った。 時計の針が11時を差していた。 そろそろ寝ないとな…飛鳥はやはり帰って来なかった。 このまま帰ってくるつもりはないのか? そんな不安のまま飲み終わったコーヒーカップを流しに置いて自室に向かった。 自室はリビングと違い、まるで今までそこに飛鳥がいたように今朝のままだった。 制服を脱いで、寝る前にシャワーくらい浴びようと思い着替えを持って脱衣所に向かう。 外出届けを出していたんだな、何処に泊まったんだろう…実家か?それとも友達の家? 考えないようにと思う度に飛鳥の事で頭がいっぱいになる。 暖かいお湯を頭から浴びる。 風呂から出て髪を乾かしていると、ふと昨日の出来事を思い出した。 飛鳥に女のようにされたあの日…俺は俺でなくなった気がした。 今までした中で一番良かったのかもしれない。 見られてるのがいいというわけではない。 …ただ、あの日…飛鳥の独占欲を感じた。 俺を手に入れたいという飛鳥を感じて俺もそれに応えた。 なのに飛鳥はそんなすぐに手放すのかよ。 脱衣所から出て自室に戻った。 なんか腹が立ち周りをキョロキョロ見た。 クローゼットを開ける。 半分は俺の服でもう半分は飛鳥の服が入っている。 飛鳥の私服を取り出して眺めた。 ……なんかムカついて、飛鳥を汚してやろうと考えて意地悪く笑った。 ハンガーを外して鼻に服を近付けた。 洗っているのに飛鳥のにおいが微かにした。 香水付けてないのになんでこんなにおいが爽やかなんだ? 目の前に飛鳥がいるみたいで俺のが少し反応した。 飛鳥の服を持ちながらベッドに寝転がる。 ベッドからも飛鳥のにおいがして、飛鳥に包まれている気分になる。 もぞもぞと足を擦りあわせてズボンの中に手を入れた。 興奮しているとはいえまだ柔らかいそこを軽く握り擦る。 少し息が乱れてきた、飛鳥の服をギュッと握る。

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