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第64話

※三条優紀視点 「…というわけだ、理解したか?」 「あ、あぁ…」 詳しく説明されたわけではないがこれだけはなんとなく分かった。 俺のただの勘違いだったんだな。 飛鳥と話し合えばきっと今みたいに普通に話してくれていたのだろう。 もうそいつと会う気がなさそうでホッとした。 まさか飛鳥が怒っていた原因って俺の裸を撮られたからってなんだそれ…と呆れる。 男なのに男の裸撮られたくらいで減るもんじゃないだろ。 「俺、何度も言うけど女じゃないから上半身くらい平気だ」 「……ほぅ」 「いっ…!?」 いきなり飛鳥が俺の乳首を引っ張るから痛みで顔を歪める。 何するんだ!と飛鳥を睨むと飛鳥は慰めるように舐めてきた。 軽く吸って甘噛みされだんだん甘い痺れが全身を駆け巡る。 感じてるなんて思われたくなくて必死に声を押さえていたが奥を突かれたまらず声が漏れる。 そういえば飛鳥のがまだ入っていた事を思い出した……馴染みすぎて忘れていた。 自分で引き止めた事をまさか後悔するなんてと苦笑いする。 「こんなエロいもん撮られたんだぞ、もっと警戒しろよ」 「わかっ、分かったからぁっ!!もう触っ…んんっ!」 「優紀が可愛く嫉妬してくれたんだぞ?今夜は寝かせねぇからな」 「は、ちょっ…まっ!あぁぁっ!!!!」 止まっていた快楽を再び再開され、俺は飛鳥の背中に腕を回してしがみつく事しか出来なかった。 飛鳥の愛は甘く痺れて切なくなる。 俺は飛鳥の愛で満たされていくのが分かる。 唇を重ねて舌を絡み合わせる。 子供の恋しか知らなかったのに飛鳥に大人の恋を教わった。 今度はちゃんと疑う前に飛鳥に聞こうと思い、快楽に溺れた。 「ところで飛鳥、俺が帰ってきた時何してたんだ?」 「…ん?あぁ、あれ?」 俺は疑問に思った事を口にした。 飛鳥は俺が帰った後、俺に気付かすスマホを見ていた。 あれはてっきりあの男からもらったメッセージかなにかを見ていたと思っていた…顔が緩んでいたし… でも飛鳥の話からしたらSNSは知ってるみたいだったがそういう雰囲気はあり得ない気がした。 …ならいったいあれはなんだったんだと疑問に思った。 飛鳥は裸のまま起き上がりスマホを取り出し操作している。 そしてどや顔で俺に画面を見せて、俺は今すぐそのスマホを破壊したくなった。 艶かしい声が響く、耳を塞ぎたい…誰が好き好んで自分の喘ぎ声なんて聞きたいんだよ! あの時のカメラ、いつの間にスマホに送ったんだよ。 今すぐ消せとスマホを奪おうとするが飛鳥に避けられる。 結果飛鳥の上に倒れ込んだ。 「…なんだ優紀、まだしたりねぇの?」 「もう無理だって!」 今度は俺が飛鳥から逃げる番でそんな茶番を夜明けまで続けた。 ーーー 翌朝俺は大きな欠伸をしながら体育館の壁に寄りかかっていた。 さすがに三時間しか寝てないときついな。 バイトの後で飛鳥とヤってればそうなるよな。 それにしても飛鳥は元気だな。 俺の目線の先にはドリブルをして数人をごぼう抜きする飛鳥がいた。 そして昨日紫乃がはしゃいでいたダンクを決めて、飛鳥のチームが勝利した。 本当に初心者かよ…ルール聞いてもあんなすぐに動けねぇだろ。 俺は眠気も忘れて魅入っていた。 仲間達とハイタッチする飛鳥は爽やかな青春を謳歌していた。 「カッコいいよねぇ、河原くん」 「…あぁ………あ?」 突然横から声がして横を見ると、床に座りこちらを見る紫乃がいた。 ……お前、さっきあの喜んでる奴らの中にいなかったか? ニヤニヤと笑う紫乃に目を合わせないように逸らす。 紫乃にからかわれるのはなんか嫌だ。 そっぽを向く俺を紫乃は「照れてる?照れてる?」と楽しそうに聞いてくる。 柔らかい紫乃の自慢のマシュマロほっぺをつまんで伸ばす。 「ごひゃんって!!」 「何言ってるかさっぱり分からねー」 「ごめんって、二人が仲直りしたみたいで嬉しかっただけだから」 頬を離すとちょっと赤くなった頬に触れながら紫乃はそう言った。 そういえば紫乃にまた心配掛けてたな。 「ありがとうな」と言い紫乃の頭をグリグリと掴んだ。 すると部員達と会話していた飛鳥がこちらに振り返り俺に手を上げた。 ちょっと恥ずかしかったが小さく手を振り返した。 それを紫乃に見られて咳払いして誤魔化す。 「そういえば優紀くん、河原くん襲ったの?」 「はぁ!?そ、そそそっ!?なななっ!??」 「…ほほぅ、襲ったんだぁ」 「し~の~!!」 俺は再び紫乃の頬を狙い手を伸ばそうとしたら、さすがに同じ手には引っかからないと紫乃は素早く。 足が早いのが自慢の紫乃を必死に追いかける俺。 そしてそれを楽しそうに見つめる部員達。 飛鳥は「…やべ、上条に嫉妬しそう」と言っていたが、俺の耳には届かなかった。 結果俺は部活に参加していないのに一番良い汗を掻いていた。

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