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第66話
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放課後、俺は約束していた図書室で古城と会っていた。
赤点の欄に古城の名前がなかったから古城も赤点は逃れた事は分かっていた。
「良かったな、赤点にならなくて」
「まぁな、お前のおかげだ…ありがとう」
「…………」
「な、なんだよ」
「…いや、素直だと思ってな」
そう言うと古城は不満そうな顔をしてそっぽを向いた。
古城も嬉しかったのだろうな、いつものツンデレを忘れるくらいには…
もう俺が勉強を教える事はないな、後は古城が自習をちゃんとやればいいだろう。
図書室は今日人気がない、期末が終わったし皆早く帰りたいのだろう。
司書もカウンターで眠そうにしているから早く用件わ終わらせよう。
俺も早く帰りたいし、長居する必要はない……帰って…
そこで思い出した…そうだ、俺…飛鳥と約束してたっけ。
考えたら頬が赤くなってきた、飛鳥に知られたらまたエロい顔とか言われるんだろうな。
…今この場に飛鳥はいないし、あ…そうだ…古城の顔を見て落ち着こう。
恥ずかしい想像を打ち消すために本棚に寄りかかる古城を見る。
「…うん、落ち着いた」
「……は?なにが?」
「いや、何でもない」
「…もう、会えないのか?」
ふと古城がそう呟いた、赤点は逃れたし解放されるのに嬉しそうじゃないな。
同じ学校だし、クラスが違っても普通に会えるだろ。
そう言うが古城はみるみる気分が沈んでいく。
まさかまだ勉強教えてもらおうとしてるのか?今後は俺じゃなくて教師に頼めよ。
まぁ短い期間だったけど、何とも思わなかったわけではない。
友人と呼べるほど仲良くはなってないが…むしろ喧嘩ばかりしていたが、知り合いくらいにはなったような気がする。
もしかして古城、気の合う友達がいないのか?
だから友達になりたいとかそういうのだろうか。
紫乃なら友達が増えるの喜ぶだろうしそれならいいと思うぞ。
「…初めて会った時覚えてるか?赤点免れたら俺の言う事聞くって約束…」
「えっ、あぁ…したな、そんな約束」
古城に言われて思い出した、実はそれまですっかり忘れていた。
あの時は飛鳥の事が気になっていてそれどころではなかったからな。
そうなると約束とはやはり友人になってくれとか?
いや、命令されてなるものじゃないよな、なりたいなら普通に言ってくれればいいのに…
不器用か?不器用なのかコイツ、素直じゃないしな。
向かい側の本棚に寄りかかる俺の前に立つ。
そして俺の顔の横に両手を付いた、顔が近いのが気になった。
「…どうした?古城」
「………ってくれ」
顔を強張らせた古城は小さくそう呟いていた。
聞こえるか聞こえないくらいの小さくか細い声だった。
でも至近距離である俺にははっきりと聞こえた。
空耳であってほしい…「キスしてくれ」と言ったか?コイツ…
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