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第2話
僕の通ってる高校は厳しくて、学校でスマホを使うのは禁止されている。
電源を切って、カバンの中に入れとかないと取り上げられてしまう。
でも、あなたからの連絡にすぐに気づきたいから電源を切ることなんて出来ない。
鞄の中で時々震えるスマホは、甘い言葉や浮かれたスタンプばかりが詰まってる。
あなたから返信が来たときは飛び上がるほど嬉しくて、
返信が遅い時は泣きたくなるほど悲しい。自分でも分かるくらいに単純だ。
また訪れたあなたの家。あなたは少し仕事で遅れるみたい。
好奇心から洗面所に行った。
すぐに後悔した。
洗面所には、あなたが使わないようなピンクの歯ブラシが佇んでいた。
『泥棒猫』
と罵られた気がした。
僕なんか気にしなくていいのに。
だって、僕は君のように物を置いていくことなんて出来ないし、
心を許されることもない。
それがどれくらい辛いことなのか、君には分からないでしょ。
選ばれた君には。
あなたと共にいくつもの夜を過ごすうちに、こんなことを思ってしまった。
夜じゃない、昼のあなたの隣を太陽を浴びながら歩きたいと。
欲張りなのは分かってる。叶わない願いってことも分かってる。
だって、僕にかかってる魔法は夜明けと共に解けてしまうから。
そういう運命だから。
そう知っていても願わずにいられないのは、
僕があなたという蟻地獄に囚われているからなんだろうね。
:いつだって僕らは曖昧で、言葉にすれば消えてしまうほど脆い関係。
それでも、夜が明けるまではあなたの腕の中で甘い夢を見させてほしい。
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