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第14話 意外な人物との再会
「みっちゃんっギブス取れたのね!!……良かった。ママ心配したんだから」
その日の朝食を食べたあとに皆で部屋の掃除をしていたら、俺の両親が面会に来た。
面会時間は一週間に1回の30分と決められているらしかったが、俺は父さんにも母さんにも会いたくなかったから、必要最低限の物を置いて帰って欲しかった。
「三成、先生とこれから診察の結果を聞くんだ。でもね、ママを責めるだけじゃ一歩も進めないんだよ」
父さんはエリートだ、替え玉入学なんてされたことがないからそんなことが言えるんだ。
すると扉がトントンと二回鳴った。
「すみません、面会の部屋が埋まってしまったので、隅の方で良いのでさせてもらえませんか?」
とても身なりのよいおばさんだった。
うちの母さんは不満そうに顔をしかめたが、俺は直ぐに終わらせるつもりだったから、
「どうぞ」
と通した。
すると見たことのある男前の長身も入ってきた。
「え?!杉原っ?」
「あれ?!栄……、なんでもここに」
面会室に入ってきたのは、男子高校で同じクラスだった杉原 俊(すぎはら しゅん)だった。
まさかこんなところで会うなんて思っても見なかった、高校1のイケメンの登場に驚いていたら、杉原は苦笑いで、
「……俺の義弟が入院してるんだ」
「お兄ちゃん、お知り合いなの?」
「ああ、母さん俺はやっぱし『亮』に会うのはやめておくわー。……ロビーで待ってるから」
そう言って杉原は面会室を出ていった。
確かに『亮』と言った。
ということは保護室の『亮』という人物だろう。
その義兄が『杉原 俊』、一体どんな理由で杉原は面会を止めたのか、それか俺にとって気になることだった。
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