すると面会室の外が騒がしくなってきた。 ドアが開く一斉に看護師さん、ヘルパーさんが『亮』に飛びかかり、足枷に白い手袋、見たこともない拘束具で縛り上げられた。 「畜生っ……俺が何したって言うんだよっっ！！」 『亮』は狂ったように騒いでいた。 その中からゆりちゃんが一歩出て来て、 「可哀想な亮ちゃん」 「……ささくらぁ」 笹倉？ 「今度チョコレート持ってお部屋に遊びに行くから、亮ちゃんは大人しくゆりを待っていてね」 『亮』はゆりちゃんに膝不味いて、足に顔を埋めていた。 俺は不思議だった。 なんで『亮』にはゆりちゃんが『笹倉 叶』に見えるのか。 俺はそのときにゆりちゃんの本名を知った。 ゆりちゃんの本名は、『百合ヶ丘 かなえ』(ゆりがおか かなえ)だった。 『ゆりちゃん』とは、あだ名だったんだ。