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第23話 自覚

俺は朝飯前からどんよりしていた。 拘束されていたゆりちゃんは6時にベルトを外されて、今ベッドの中だ。 数時間身体を擦っていた俺は、ゆりちゃんの喘ぎ声に反応したペニスも擦らずに、直ぐに顔を洗わされ7時にこうして朝飯を食べている。 今まで個室で朝飯を食べていたときはお粥の飯だったけど、どうやら常食の朝御飯はパンらしい。 しかも食パン6枚切りの2枚の生パン。 俺としてはトーストが食べたい気分だった。 「栄さん、元気ないねぇ」 「若いのにそんなんじゃこの病院に入院してたら病むよ」 そりゃ病んでるから入院してるんだよね?と突っ込みたいのをグッと我慢した。 暴力サド看護師Bさんは溜め息をついて、 「夜中ゆりちゃんが大騒ぎしても呼ばないでね、栄さん。あの子我慢を知らないんだから」 「……」 ゆりちゃんも我慢はしてると俺は言いたかった。 じゃなきゃ保護室の『亮』を思いやる気持ちは持たないと思ったからだ。 でも俺は言えなかった。 なんでかは自覚してる。 俺はゆりちゃんに恋をしているんだ。 だからこんなにも気になるし、保護室の『亮』が羨ましくてたまらない。 俺から見たら希恋(Fカップ)は所詮おっぱいしか魅力はなかったというわけだ。 少し病んでても、子供な大人でも、童顔の10歳年上の男でも、単細胞で無邪気なゆりちゃんが俺は好きなんだ。 俺は保護室の『亮』が羨ましい。 ゆりちゃんが気にしている保護室の『亮』をライバル視している。 例えあの『喧嘩の強いイケメン杉原 俊の弟』でも負けたくない。 「ゆりのご飯頂戴……」 やっとゆりちゃんが朝飯にホールに出てきたのは、俺が食べ終わる寸前だった。 半分寝ているゆりちゃんはパンにジャムじゃなくて、『牧場の朝食』というヨーグルトを塗って食べてパジャマをベチョベチョに汚していた。 それでも満足そうに食べている彼を見て、俺は可愛いと思った。

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