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第31話 永田さんの『幻覚』

「やめてくれ……トシ夫っ」 その日の早朝もゆりちゃんの喘ぎ声のような痛がる悦い声に起こされて、俺のペニスがビンビンに反応していたときだった。 同室の永田さんが突然うめき声を上げた。 永田さんも拘束されて眠っているけど、何か目が虚ろだった。 「永田さ……ん?」 俺は起き上がって永田さんのふくよかな身体に一瞬だけ触れた。 「……痛いっ!!手をあげないでくれ……、息子なのにどうして親にっ」 俺はビックリして裸足でナースセンターに行き、思い鉄の扉をノックした。 「看護師さんっ、永田さんが様子が変なんだよ」 すると中から夜勤で疲れてそうな暴力サド看護師Cさんが出てきた。 看護師Cさんは欠伸を噛み殺しながら、 「……いつもの息子さんに殴られてる幻覚をみてるのね。点滴用意するから、まだ栄さんはベッドに入りなさい」 まるで犬に命令しているかのように、俺に命令した。 でもそんなことを冷静にしていることが出来なくて、俺はナースセンターの前で屯した。 「栄さんは少し心配しすぎね。大丈夫だよ、アタシはプロなんだ」 と、俺の腰を叩いた。 こんな初老の看護師さん何が出来るんだよ、と言いそうになったけど堪えた。 厳しくて、頑固で、ちっとも優しくない、でも確かにここの病院の看護師さん達は何でも頑張ってくれてるのには間違いはなかったから。 俺は505号室に戻って、ゆりちゃんの喘ぎ声のような痛がる悦い声にペニスを勃起てながら、 「あんっ……ダメぇゆり、こわれちゃうっあぁぁあ」 永田さんの幻覚を見るうめき声と、 「トシ夫、父さんを……虐めないでくれっ」 永田さんを励ます暴力サド看護師Cさんの言葉と、 「永田さん、しっかりしなさいっ!!男でしょ」 角地さんのいびきを聞いて、 「ぐぉぉっ……ぐおぉぉっ……」 布団を被った。

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