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第32話 ……ピュッ。
「永田さん……良かった」
永田さんの幻覚は点滴のおかけで治まって、今は拘束されたまま眠っていた。
ちなみにゆりちゃんは起床時間がきたから拘束を外されて、気持ち良さそうに寝ている。
「朝方はゆりちゃんも永田さんもうるさくて、アタシャ眠れなかったよ」
と、角地さん。
まさか肝臓の病気を患ってもいて、病状が芳しくないとは思えない、清々しいほどのいびきをかいて眠っていた人の台詞じゃない。
俺はゆりちゃんの寝顔を見ながら、タオルと洗顔フォームを持って洗面所で顔を洗おうと立ち上がった。
……ピュッ。
「?!」
俺の下着に嫌な湿り気……。
嘘だろ……。
まさか、……俺はゆりちゃんの寝顔を見ただけで、なんと『射精ってた』!!
しかもそれが凄く気持ち良かったなんて、ショックどころじゃない!!!!
俺の免疫がここまで落ちてたなんて……愕然とした。
「……角地さん、さっき看護師さんが呼んでましたよ」
俺は下着を取り替えるために、咄嗟に嘘をついた。
「え?……なんだ、アタシに朝のジュースでもくれるんだな!!」
純粋に信じた角地さんは部屋を出ていった。
俺は……掛け布団を掛けたまま、ゆっくり精液で汚れた下着のビキニを脱いで、衣装ケースから新しいビキニを取り出して……床に汚れた方を置いた。
そしてビキニを履いたところで、角地さんと夜勤で暴力サド看護師Cさんと交代したばかりの暴力サド看護師Aさんが病室に入ってきたっ?!
「栄さんっ!!角地さんに嘘をつくんじゃ、なぃょ……」
語尾が弱々しくなってるということは……俺のしていることに気付いたんだろう。
「その汚したパンツは……親御さんの洗濯に出すんじゃないよ?」
「はぃ……」
「栄さんも未成年だもんな、元気がある証拠だよ。隠さなくていい、あんた立派だし、むしろ堂々とパンツ代えな」
「……」
「それで、どんないやらしいこと想像したのか後で教えな。休み時間のネタにするから」
頼みます、純粋な未成年をからかわないでください。
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