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第34話 こどもの日、合同レクレーション
俺はこどもの日、合同レクレーションのために、5階から4階大ホールに非常階段を使って、皆と下りて行った。
すると何故か女性患者さんは、年問わずメイクしてスタンバイしていた。
……やっと分かった。
これ『俺目当て』でしているんだ。
男性参加者は皆が年配の人が多いけど、女性はそこそこ若い人がいるんだ、多分。
精神患者の年齢は見た目じゃ分からないんだった。
だって、さっきから俺メチャクチャ視線を浴びてるし……。
「今年の参加者さんは多くて嬉しいです!!」
「きっと若い患者さんも参加してるからかな?」
司会のケースワーカーさんが、俺を指差して言った。
婦長さんは俺を品定めに来たんだ。
……ゆりちゃんのいる505号室に帰りたい!!
「まずはビンゴ大会から始めたいと思います」
「景品はお菓子の詰め合わせセット、先着で7袋あります」
俺はビンゴ大会でまさかの1位を取って更に目立ち……、上映会の後の交流会で服に女性患者さんのメイクがベッタリついた。
彼女らに名前を聞かれたが、病気が重いフリをして切り抜けた。
……女性患者さん怖い!!
どんだけ男に飢えてるんだ。
5階から一緒に参加をしていた山本さんをようやく助けて貰えて、俺は何とか切り抜けた。
「流石若いし、イケメンだし、病院側の狙い通りになったみたいだね」
「山本さん、知ってたなら教えて下さい。……仮病使ってでも参加しなかったのに」
「まぁまぁ。……彼女は男患者より若い人が多いし、栄くんに会いたくても会えない抽選漏れも居たようだから勘弁してあげて」
それにしても女性患者さんってズルくないか?
メイク道具持ち込みOKなら、男性患者も何か特別にOKしてほしい。
「みっちゃん、レクレーション楽しかった?」
レクレーションから505号室に帰ってきたら、俺の参加したレクレーションの感想にゆりちゃんが期待して待っていたけど、
「ゆりちゃん、……レクレーションは面白くないよ」
「でも楽しそうな声がしたよ?」
「このお菓子セット分けてあげるから、お願いしますこれ以上聞かないで」
俺はお菓子で好きな人への質問から逃れた。
これじゃ、ゆりちゃんは参加出来ないよ。
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