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第41話 保護室入り
「ここが、……保護室」
保護室なんて名前だけで、綺麗な真っ白いただの檻だった。
保護室は二部屋あって、トイレは少しだけ仕切りがあるだけ。
その二部屋のうちには『亮』が入っていた。
……亮は今落ち着いているらしく、ベッドに座ってた。
「……栄さん、入って」
暴力サド看護師Aさんに入るように促され、俺は檻の中に入った。
そして直ぐに点滴の用意がされて、右腕に刺された。
「杉原さん、栄さん、あまり余計な話したら駄目だよ」
全く話したら駄目ということじゃないんだな、と思って俺はベッドに寝転んだ。
「……あんたなにしたの?イチバンまともそうだったのに」
「『あんた』じゃなくて、『栄 三成』。三成でいい」
「その点滴、結構強い安定剤だし……かなりヤバいことしたんだ?」
「幹さんっていうおじさんに告白されて、……俺がゆりちゃん好きなのがみんなにバレた」
「あんた、……三成はゆりが好きなのか。物好きだな」
「なんだよ、お前はゆりちゃんを『笹倉 叶』だと思い込んでたよな?」
「あれは『かなえ』だからしょうがない。俺にとっては『笹倉が世界』だから」
この年で随分凄いことを言うなぁと思った。
「でも笹倉は兄貴が『好き』なんだ。……『兄貴が他のヤツを好きになったら死ぬ』って言うから」
あの『笹倉 叶』がそんなことを言うなんて信じられなかった。
でも事実だから、亮はここに……隔離病棟の保護室にいるんだろう。
「……好きな相手が純粋で綺麗過ぎると『魔性』でしかない……」
亮の言ったことは俺にも分かった。
ゆりちゃんは大人にならないピーターパン、純粋で無垢だからこんなヨコシマなことを考えている俺を『友達として』好きになってくれた。
「ゆりちゃんは優しすぎるんだよ」
「いや、ゆりは優しくなんてない。アイツは優しくされたいから好かれたいから、あんな行動を無意識にとる」
……どういうことだ、ゆりちゃんが『優しくなんてない』なんて。
「ゆりは俺と同じなんだよ」
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