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第49話 同じく惹かれ合ってた
「あっあぅっ……んぅっ、いたぁイのぉっ」
深夜3時何時ものようにゆりちゃんの喘ぐような痛みを堪える悦い鳴き声こえで目が覚めた。
永田さんは今日も大人しく眠っているし、角地さんもやっぱり何時ものように大地を揺るがすような凄いいびきをかいて寝ていた。
俺はベッドから下りて、ゆりちゃんのベッドの縁に手をついた。
「ゆりちゃんが毎晩どんなに辛いか俺は100%は知らないけど、入院したての頃に拘束されてた俺に、優しくしてくれたのはゆりちゃんだけだった」
俺はゆりちゃんのぷにぷにの頬っぺたを優しくさわった。
「まさかその子を好きになるなんて思いもしなかった。……あのときは俺にチョコレートをくれた」
「……っみっちゃん、ぃたいよぉ」
「ゆりちゃんは拘束される痛みを知ってたから、俺に優しくしてくれたの?」
俺は確かめてみたかった、ゆりちゃんの本心を。
「ゆりちゃん、君本当は最初から『俺が気になってたんだよね』?」
ゆりちゃんは一生病院から出られない、なのに直ぐに退院するような俺の名前を……性格には覚えられなかったけど愛称で覚えてくれた。
少しでも気がなきゃ覚えてられないはずだから。
「……っみっちゃ……んっ」
ゆりちゃんの大きな瞳から大粒の涙がこぼれた。
痛いから?
……違うよね?!
いくら幼いゆりちゃんでも、こんな幼い表情で泣いているのは今回で二度目のこと、俺が保護室から出てきたときと今だ。
「ゆりちゃんに甘いものをあげるから、もしそうだったら頷いて」
するとゆりちゃんは一回大きく頷いてくれた。
それから俺は涙と鼻水でぐちゃぐちゃの可愛い人の唇を、歯を当てずに奪った。
やっぱりこれから俺はゆりちゃんのためだけに生きよう。
だから俺は自分の思い画いていた人生を変える決意をした。
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