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第39話 エターナル

「俺の他に仲いいヤツいるから、ソイツら二人の分も確保しろ」 神がフンッと広角を上げた。 無駄にイケメンオーラをキラキラさせて、決め顔なんだけど、何? 偉そうにコノヤロウ! 「そしたら、支払い千円でも月に一万円扱いにしてやるよ」 「えっ、マジいいの?!!」 そんな破格な事して貰っていいのかどうか、そんなことよりも俺は寂しくなる懐がなんとか死守出来そうだと、その言葉に飛びついた。 俺が訊くと、神は顎だけで軽く頷いた。 「あぁ。ただし、俺達以外が座れない様な位置をとれよ。角とか端が理想」 「うん。分かった!」 淡々と話す神とは正反対に、俺は勢いよく頷いた。 だって、千円の支払いでも一万円扱いにしてくれるっていうんだから、乗り気になるに決まってる。 「どうしても無理なら、俺には興味なさそうなヤツの近くで頼む」 王子に興味ない人間は、皆無に等しい様な気がする。 そんなヤツは、教室でひとりとかオタク仲間同士で弁当食べてる男子しか居ないんじゃないかな? とも思ったけど、黙っておいた。 好都合な条件に、いちいちケチつける必要はない。 とにかく俺は、任務を全うするだけだ。 「俺、全力で席取り頑張る!!」 かつてここまで席取りに燃えた事があっただろうか? いや、ない。 だけど、なんて素敵な提案なんだろうか。 これでお小遣い貯めてアニメの円盤買ったり、マンガ買うお金が確保できるぞ~!! 「イェーイ!」 まさかの提案に俺は、歓喜の小躍りを披露した。 喜びのあまり、無意識に笑いながらワーイ、ワーイ!と万歳して、ピョンピョコ跳びはね、ハッピーとも幸せを分かち合った。 「ハッピー!マジ良かったな!!俺、頑張るからな!!」 ワンッと、俺の声にハッピーが元気よく鳴いた。 本当に本当に、これなら神が王子様として崇め奉られるのも納得だ~!! 気前よすぎだ! 呑気な俺のおバカな小躍りシーンは、まさかの神のスマホに動画として撮られていたという…。 その時の俺は、もちろん知らない。 未来の俺から、過去の俺に言いたい。 気がつけ、俺っ。 神が冷静にスマホ構えてるのが見えないのか?! このっ、バカーーーッ!! これが、マジ最悪なエターナル黒歴史となる…。 それを知るのは、もちろん先のお話。

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