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勘違い
緊張しながらもインターホンを押した。
「もう来るなって言ったよな」
あっちからはインターホンで、俺が映ってんのか。
「ちょっと話があって…」
あっちの顔が見えねぇからこそ、どんな顔してるか分かんねぇからうつむきつつも喋った。
インターホンが切れてから、何にもなかった。
無理か…。
帰ろうとした時。
「玄関まで入って」
嬉しいあまり、笑っちまう。そのまま俺は玄関に入る。
「…なんで来たんだよ。来るなって言ったよな」
声の感じが初対面の時と全然違う。優しくない。ちょっと怖い。
うつむいたまんま、
「俺、高藤さんじゃないとダメなんです…」
「…風呂まで入ってきて、そんなに続きがしたいのか?」
「違います!。これは、夢で…、高藤さんが…」
「…帰りな。正直言って迷惑なんだ。君とはあれだけなんだから、勘違いしないでくれ」
その言葉に涙が出てきて、下を向いてるからどんどん落ちてく。
「分かりました。…すみませんでした」
そのまま俺は玄関を出た。
やっぱり俺の勘違いだったんだ。何本気になってんだよ俺。高藤さんも迷惑だって…。
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