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第3話

西辻の過剰な反応にも全く気にせず、柿本の指先は遠慮せず裸の上半身を触ってくる。脇腹から(へそ)、肋骨をなぞって、乳頭をぎゅっと摘まれた。 「ちょ、ちょっと……頼むから、止めてくれっ」 違和感と痛みから、西辻はガタガタと椅子を動かすが。 柿本は何も応えず。さらには舌でベロリと頬を舐めてきたり、屈んで頬ずりをしてきた。 しかしその動作は……セックスへの愛撫……というよりも、母猫に甘える仔猫みたいだ。 「おっ、おい! 柿本っ!」 本気の大声を出すと、やっと柿本は動きを止めた。 「もしかして、先生はこの間の個人授業で、何かおまえの気に触る事したか? これはその報復か?」 いい加減に西辻も余裕を無くして、教師から生徒への口調を消して問い掛ける。 「ほうふく? 俺はあんたを気に入ったから、これから犯そうとしてるんだけど」 「だってさぁ……犯す……って、その、あの、性行為に持っていく、って意味だろう?」 泣きそうに問うと、柿本は真面目な表情で頷くので。成り立たない会話がまた怖くなる。 そして柿本は、西辻のズボンのベルトをガチャガチャと外して、ファスナーも勢いよく下げる。 「尻……あげてよ。脱がせらんねーじゃん」 鋭い視線で睨みつける瞳と、掠れた低い命令口調から、反射的に腰を動かしてしまった。 その途端に、思い切りズボンを膝の辺りまで下げられた。その勢いで、トランクスも一緒にずり落ちて。 西辻は下半身の衣類も剥がされて、全身がほぼ裸と化した。 「なっ……おい! 止めないかっ!!」 もはや柿本は制止文句など聞く耳を持たず。西辻の下半身への愛撫を始める。 しかし、太ももを揉んだり、毛の生えた脛を摩ったり、尻を拳でつついたり……。 やはり愛撫とは思えない。そしていよいよ西辻の性器に触れた柿本は、はっとした表情で、汚物に触れた手の平をまじまじと見つめる。 (やれやれ、やっと馬鹿馬鹿しい行為だと気が付いたか)

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