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第2話

「シエル、そろそろ準備なさい。外へ出るわよ」 「はい、母様!」 ランベリク家の一人息子であり第一王子、 《シエル=ランベリク》 男にも関わらず絶世の美女と称される彼は、 世にも珍しい翠と紅のオッドアイをもち、 丸くて大きな愛らしい目はまるで人形のようだ。 成長が伸び悩み、143cmと12歳としては小柄な体格。 錦糸のように細く、青みがかった黒髪がサラサラと風に揺れる。 声変わりもまだ迎えておらず、男の子にしては高めで透き通る声は国民も耳を傾けるほどだ。 そんなシエルは両親や国民に愛されて育ち、こうして時々母親と城下町へ出かけることもある。 「王妃様、シエル様、おはようございます」 「わ〜!シエル様、王妃様〜!!」 「王妃様、今季も身の詰まった作物が沢山採れましたの!」 王族が国民を愛し、そして国民が王族を愛す此処、メジエールは今日も笑顔で溢れていた。 ──そう、笑顔で溢れていたはずだった。

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