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第3話
『全国民に連絡!全国民に連絡!!
只今、国外より何者かの襲撃!
直ちに城内へ避難してくだ──────ブチッッ』
国全体に緊急放送が流れ、人々は狼狽える。
況してや途中で放送が途絶えたのだ。
ザワザワと街がざわめく中、国外へ続く門の近くで火が上がり、大きな爆発音が鳴り響いた。
「王妃様!シエル様!早くお逃げください!!」
「えぇ。シエル、走るわよ!あなた達も早く逃げなさい!」
「はい!母様!」
人々は王妃とシエルを先に城内へ逃す。
そして国民全員が城内へ逃げ、街は静けさに包まれた。
しかし、爆発は止むことなく国内にまで進出する。
「一体何が……」
王が街を見下ろしそう呟いた。
街全体が火を上げ赤く染まっている。
こんな無残な光景は誰も信じることができず、皆ただ呆然と街を見下ろしていた。
そして王はあることに気づき、青褪めた。
「シエル………?シエルはどこだっ?!」
城内へ入るまで王妃と一緒にいたと兵から連絡があったのだが、シエルの姿がどこにもないのだ。
城内へ散らばる兵士全員へ連絡を寄越したが、シエルは見つからなかった。
そしてとうとう、固く閉ざされていた城門が敵軍に破られた。
「今日をもって此処、メジエールは我が国【ペリグレット】の支配下とする!!!抵抗する者は皆殺しにしろ!!!」
城内に敵兵の声が響き渡った。
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