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第4話

(母様……、どうして……) ここは兵のサバイバル練習で時々使われる休憩スペース。 厚い石の壁で作られており、防空壕の役割も果たしている。 シエルは逃げている途中に、この1人分のスペースしかない小さな防空壕に押し込まれた。 そう、母親である王妃にだ。 「母様…、父様……っ」 シエルは両親や国民が心配で何度も外へ出ようと試みたが、扉は固く、ピクリとも動かない。 外からは大きな爆音聞こえ、まだ精神的にも幼いシエルは、ビクッと身を縮こませた。 数時間が経ち、音は止んで静寂が訪れた。 しかし扉は開かず、シエルはこの狭いわずかなスペースで、常備されていた毛布に身を包み、非常食を食べて約1ヶ月を生き長らえた。 誰も助けに来ない。 その現実は母の生死を物語ってるも同じことだった。 しかし、シエルは母や父、国民全員の生存を信じ、ただ敵国に囚われてしまっただけなのだと、必死に自分に言い聞かせて、何度も何度も石の扉を叩き続けた。 ガラガラガラッ あの襲撃での爆発や、シエルが1ヶ月間叩き続けたことにより脆くなった扉が、とうとう崩れ落ちた。 シエルは防空壕の外へ出て、そして絶句した。 豊かで笑顔に満ち溢れていた街はなく、 辛うじて焼け跡として残っている建物が数カ所あるだけだ。 そしてシエルは意を決して、みんなが逃げたはずの城内へと、足を踏み入れた。

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