9 / 266
2章【ヒューマンオークション】
そして現在、
あれから2年という月日が経ち、
シエルは14歳になった。
身長も小柄なままではあるが152cmまで伸び、以前のあどけなさは少し抜け、中性的で妖艶な容姿へと成長した。
メジエールから1番近かったこの国の記憶からさえもメジエールは消え去り、そしてシエルの存在も忘れ去られていた。
しかし、あくまで忘れているだけ。
この目を見られたら、きっと彼らは思い出すだろう。
「ナヴィ、肉が切れた。市場に買い出しに行ってくれるか?」
「はい、行ってきますね」
シエルはカラーコンタクトで瞳を深いブルーにして、宿屋のアルバイトをして寝泊まりをしながら暮らしている。
人々の記憶から自分を消すため、シエルは名を"ナヴィ"という名前に変え、完全に他人になりきっていた。
フードを被り、顔を隠して市場へ向かった。
ともだちにシェアしよう!