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第10話
この2年で世界は大きく変わった。
それはある金を持て余した貴族が始めた娯楽。
【ヒューマンオークション】
人間を商品とし、貴族に売り付ける。
商品はオークション形式で1番高値を掲示した者に売られ、そしてその商品は人権ごと全てを奪われる。
所謂"人身売買"だ。
多くは奴隷として一生を過ごすが、中には人体実験の実験台にされたり、臓器だけ奪われたりする者もいる。
どちらにせよ、商品となったものに幸せの道はない。
そしてヒューマンオークション発展と同時に、人攫い屋という職業が新たに作られたのだ。
人攫い屋に決められたルールは2つ。
『日中出歩いている人間を捕まえることは禁ず。』
『身寄りのある人間を捕まえることは禁ず。』
もちろん奴隷として扱われる場合、美人だったり、芸がある人間は高く売れる。
しかしそのような人間に身寄りがないということはまぁない。
そこでだ。
人攫い屋は日中の間に売れる人間を見定め、家に交渉に行くのだ。
多くのお金を積み、
『あなたの家族を奴隷として売り渡してくれないか』
……と。
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