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第22話
何も知らないシエルは、恋い焦がれた人にやっと会えたと胸を踊らせるが、ガシャンッと繋がれた枷によって動きを制された。
アルベールがシエルを見る目は蔑むように冷たく、シエルは本当にアルベールなのか疑った。
だが、間違いようもないあの澄んだバイオレットの瞳や整った顔立ち、髪色全てにおいて彼だということを物語っている。
「アルベール!
僕のこと、覚えてないですか……?」
シエルは懇願するようにアルベールを見つめたが、アルベールは眉を顰め、シエルの頬をペチペチと叩きながら口を開いた。
「おまえ、奴隷の分際で何をほざいてる?よくもご主人様のこと呼び捨てできるな?」
「ガハッ………!!!ぁ………うぅ………」
アルベールは革靴の先端に力を込め、思い切りシエルの腹を蹴った。
「ど……して……?」
シエルは涙を滲ませ、アルベールを見つめる。
「どうして?……あぁ、そうか。おまえ、俺が誰だかわかってないんだ?
俺はペリグレット国王、
アルベール=ヴィクトリア。
おまえの国を没落させ、おまえの両親を殺したのは俺だ。シエル=ランベリク。」
ニヒルな笑いを浮かべてそう言ったアルベールに、シエルはショックと絶望のあまり何も言葉が出ず、ただ呆然とアルベールを見つめていた。
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