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第23話
アルベールが部屋を出ていき、シエルは虚ろな目で辺りを見渡した。
拷問室というだけあって、部屋全体が鉄で囲まれており、温かさなどは全く感じない。
鎖に手枷、鞭、斧、猿轡……と様々な拷問具が揃えてあった。
辛うじて着せられている服は薄く、シエルの体は完全に冷え切っている。
「殺す………、殺さなきゃ……」
憎きペリグレットの王が初恋の相手だということは大誤算だったが、家へ潜り込むことができて好都合だ。
いくら奴隷とは言っても、一緒に暮らすとあらば必ず隙はできるはず。
シエルは大好きだった両親と国民を、残虐な殺め方でこの世から葬ったアルベールに、復讐すると心に誓ったのだ。
時間が経ち、アルベールがまた部屋を訪れた。
「おい、飯だ」
「……いらない」
「飢え死にされても困る。食え」
無理矢理口を開けられて中に食物を押し入れられた。
吐き出そうとするが、口と鼻を押さえられ、飲み込むことを余儀なくされた。
シエルが飲み込んだことを確認し、全て食べさせて、アルベールは部屋を出て行った。
シエルは喉を鳴らして無理矢理嘔吐感を誘発し、ゲェっと食べたものを床に吐き出した。
ハァハァと呼吸が乱れ、 気持ち悪くて倒れこみたいが、手枷が壁につながれているため寝転ぶこともできず、座ったまま寒い夜を越えて朝を迎えた。
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