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第27話
おそらく先ほどの奴隷が言ってたことは、本当なのだろう。
人を殺すことを戸惑わない目の前に立つ男を見て、シエルはガチガチと歯を鳴らした。
「すみません…でした………」
「次はないと思え」
「……はい」
「ここからが本題だ」
アルベールはシエルの目を見つめ、再度問いかけた。
「シエル。おまえに二つ、選択肢をやる。
俺の性奴隷になるか、
それとも、さっきの奴隷みたいにゴミ以下に成り下がるか、
おまえに決めさせてやるよ。」
シエルは絶望以外の先が見えない選択肢に、答えられずに固まった。
アルベールと体を交えるなんて、以前のシエルであれば喜んで受け入れていただろう。
しかし、ペリグレットの王だと知った今、殺したいくらい憎んでいる男に体を開けるかと聞かれたら、否だ。
かと言って、先ほどの奴隷のような生活に耐えられる自信は全くない。
恐らく自害する方がマシだろうと思うほどだった。
「少しだけ…、時間をください」
「明日もう一度聞く。よく考えておけ」
そう言って、アルベールは地下牢を後にした。
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