28 / 266
第28話
シエルは一晩中、なんと答えるのが正解なのかわからず悩んでいたが、結局答えの出ないまま朝が来てしまった。
カツン、カツン…
石の階段を降りる音が聞こえ、アルベールが来たのだと悟ったシエルの体は、カタカタと震えだした。
そして鉄の扉が開き、冷たい目をしたアルベールが椅子に腰掛けた。
長い脚を組み、シエルを見下しながら口を開いた。
「答えは出たか?シエル」
「…………どっちも嫌…です」
「ふぅん」
蹴るなり殴るなりの暴力が振るわれると思い、シエルはぎゅっと目を瞑った。
しかし、どれだけ待っても痛みはなく、不思議に思って顔を上げると、どうやらアルベールは部屋を出て行ったようだった。
シエルは何も罰がないことにホッと息をつき、壁に背を預けて眠ろうとした。
すると、廊下からシャラシャラと鎖の擦れる音が聞こえた。
ともだちにシェアしよう!