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第45話
「思い出したのか?」
「ぅっ………ひぐっ…………」
アルベールは剣を下ろし、指でシエルの前髪を掻き分けた。
シエルは俯いて目を擦り、アルベールと目を合わせようとはしなかった。
「俺が……、怖いか?」
アルベールの声色が変わり、シエルは顔を上げた。
また……、だ。
またアルベールが苦しそうに微笑んだ。
シエルはアルベールに手を伸ばすが、アルベールは立ち上がって部屋を出て行った。
「どうして…、そんな顔するの……?」
シエルの呟きは、アルベールに届くことなく消えた。
分からなかった。
彼のその表情の裏には、何が隠されているのか。
胸がきゅっと締め付けられた。
彼のことをもっと知りたいと思った。
その日はもう、アルベールが部屋に現れることはなかった。
たくさん泣いたシエルは、目を腫らしたまま眠りについた。
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