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第48話
アルベールは空になったボトルを受け取り、すり下ろしたリンゴをシエルの口元に持っていく。
「食え。おまえ餓死する気だったのか?」
「アル様は、どうして来てくれたんですか?」
「死なせたくなかったからだ」
「どうしてっ……?!」
シエルは期待せざるを得なかった。
もしかしたら、アルベールも自分と同じ気持ちを抱いてくれているのではないかと。
願うような目でアルベールを見つめたが、アルベールは蔑んだように、シエルの頬を指で撫でた。
「そりゃ、10億で買った奴隷をみすみす死なせるわけにはいかないだろう?
シエル、おまえは俺の性奴隷。
そう言ったはずだ。」
──あぁ、そっか。
それだけだ。
僕は、奴隷なんだ…。
シエルは希望のない恋心に絶望し、全身から力を抜いた。
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