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第60話

小鳥のさえずりが聞こえ、シエルはパチッと目を開いた。 大きな窓からはたくさん陽の光が入り、部屋の真ん中にあるこの大きなベッドにまでも光が届く。 シエルは嬉しさのあまり、目尻に涙を溜めながら気持ちよさそうにベッドに顔を埋めた。 しばらくして、シエルは自分の体を見て疑問を持った。 「綺麗になってる……」 昨日アルベールに抱き潰されてドロドロだったはずの自分の体が、すっかり綺麗になっているのだ。 また奴隷に体を舐めて、綺麗にされたのだろうか。 シエルは奴隷に行われるあの行為がかなり苦手で、自分が意識のないところでよかったと息を吐いた。 部屋の扉をノックされ、アルベールではないとわかったシエルは、小さい声で「はい」と返事した。 「シエル様、ご朝食をお持ちいたしました」 「ありがとうございます…」 今日もお盆には、湯気のたったタマゴ粥とレンゲが置いてある。 しかし、手を自由に使えないシエルはいつも食べずに寝ていた。 今日も食べられないな… とベッドに寝転がると、食事を持ってきた奴隷は静かに言葉を発した。

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