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第63話

「ご主人様への口の利き方がなってないな」 「ひっ……!!」 シエルとは比べ物にならないほど、鋭い眼光のアルベールの瞳に、シエルは喉をひゅっと鳴らして固まった。 「ご…めなさい……」 「分かったならいい」 大人しくなったシエルの背に、アルベールは腕を回した。 シエルは何事かと、アルベールを見上げた。 「シエル。俺は明日からしばらく遠征に出る。だからしばらくここには来ない。」 「えっ……」 遠征……って、また人を殺すの? 戦争…? シエルは余計なことを考え、あたまをいっぱいにする。 「手錠は外して行ってやる。飯は用意させるから。四日ほどで帰ってくる」 「わ、わかった………」 シエルは片手を背に回されて、ピタッとアルベールの胸に身を委ねたまま、とりあえず何度か頷いた。 いまいち頭の整理が追いついていない。 アルベールがしばらく来ないのも寂しいのだが、なかなか嫌だとは言い出せなかった。 そのあと、アルベールはシエルの体を反転させ、いつも通り行為に及び、たくさんの欲をシエルの中に吐き出した。 「いい子で待ってろよ」 アルベールは微睡むシエルの頭を撫で、部屋を出て行った。

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