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第65話

頭の中はアルベールのことで一杯で、シエルは何度もアルベールの名前を呼ぶ。 クリクリと親指の腹で先を撫でると、初めてアルベールがここに触れてくれた時のことを思い出し、シエルは思考が一瞬飛んだ。 「は……、ぁっ…あっ!!」 パタパタ…と白濁が飛んだ。 シエルは恍惚とした表情で余韻に浸り、荒々しい呼吸を抑えながら布団に包まった。 初めて一人で行った自慰はとても気持ち良くて、すごく疲れた。 「は…ぁ……、ふぅ……」 我に返ったときにアルベールがいないことで、シエルはとても虚しいという気持ちも覚えた。 「アル様………」 言葉に出すと寂しさは募り、シエルはじわじわと目尻に涙を溜めた。 アルベールが後ろにいることを想像すると、また体が熱くなる。 もじもじと脚を動かし、気を紛らわせるが、興奮がまだ治まらない。 これ以上したって、またさっきみたいな虚しさに襲われるだけなのに…。 気怠さもあるし、寝てしまおうと、シエルは目を閉じ、微睡みに意識を預けた。

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