「チッ…」 シエルを部屋に閉じ込め、アルベールはわしゃわしゃと髪を掻き乱しながら、書斎へ足を進めた。 遠征に行く前、たっぷりと自分に縋るよう仕向けたのは予定通りだった。 しかし、帰ってきたと思えばどうだ。 明らかに欲情した表情で、それもシエル自ら行為を強請ってきたのだ。 ここまで従順に躾けた覚えはないし、ましてやシエルの体に薄っすらと残る、自分以外が付けた跡に、はらわたが煮えくり返りそうになった。 シエルを閉じ込めていた部屋に、自分がいない時間に入れるのは、使用人か城の留守を任せている兵士しか考えられない。 そして使用人は由緒ある家系の人間だ。 となると、残るは留守番の兵士。 誤算というべきか、自分が城に置いていった兵士の中に、味方をも殺す眼球マニアがいたことを思い出した。 シエルは世にも珍しい翠と紅のオッドアイなのだ。 それに、最近性奴隷に暴力を振るっている兵士がいるとの報告も受けていた。 アルベールはおおよその犯人に気づいて、わざと続けざまに遠征に立ったのだ。 予想は的中。 遠征に出た初日の晩、シエルを襲っていたのは、目星をつけていた三人の男の兵士だった。 背後から近づいて、音を立てないように鞘から剣を抜き取り、静かに殺した。 だが、皮肉なことに、シエルのアナルには既に男二人のペニスが挿さっていた。 アルベールはその光景をまた思い出し、力任せに書斎にあるゴミ箱を蹴り飛ばした。