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第88話
ミリィ=シャーロット。
ここ数年の間、
かなりの勢いで国を拡大している、成り上がり国家のトップだ。
愛らしく、それでいて妖艶な容姿で、世界中の男を虜にするような女。
そんな彼女は国の拡大を始めたここ数年、勝手にアルベールの婚約者と名乗り、最近ではもう有名な話である。
もちろんアルベールは婚約する気など更々ないが、敵に回すと厄介だと否定もせず、曖昧な関係を続けているのだ。
アルベールを見送って、エルヴィドは笑顔で立ち上がった。
軽やかな足取りで部屋を出て、長い廊下を進む。
「シエル=ランベリク、何処にいるのかなぁ」
どうせアルベールのことだから、大切に大切に奥の部屋へ隠しているのだろう、
訪問する度にトイレと偽って、城の内部を見回っていたエルヴィドは、簡単に城の奥の方へ足を進めた。
この辺だろうと、ドアノブを回しては、一つ一つの部屋を確認して回っていた。
「んっ………、ぁ!アル様……っ??」
「ビンゴ」
そして、とうとうシエルの眠る部屋を見つけ、ニヤリと黒い笑みを浮かべ、中へ足を踏み入れた。
目の前には、脳裏に焼きつくような妖艶さを放つシエルの裸体が、惜しげも無く晒され、エルヴィドはゴクリと生唾を飲み込んだ。
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