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第103話

「俺のところにいた方が幸せになれるよ」 「うん。分かってます。それでも、僕………」 愛してくれて、自由もくれて、美味しい食事だって、温かいお風呂だって、手触りのいい衣服や寝床だって与えられている。 セックスはまるで恋人にするような優しい愛撫で、トロトロに気持ち良くしてくれる。 エルヴィドのところにいた方が幸せなんて、どう考えたって分かりきっていることだった。 だけど、それでもやっぱり、これがアルベールだったら。 そう考えてしまうのだ。 アルベールと一緒にいれるなら、手足を繋がれることも、 まともな食事をもらえないことも、 裸で放置されたって、冷たく硬いベッドに寝かされたって、 乱暴なセックスをされたって、 幸せだと感じてしまう。 シエルはアルベール=ヴィクトリアという男のことを、自分の全てを捧げてもいいと思うほどに愛している。 「ご飯、冷める前にはおいでよ」 エルヴィドはペリグレットがある方角をじっと見続けるシエルに声をかけて、広間へ続く扉の奥へと消えた。

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