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第104話
「ねぇ、シエル」
「ん……、なに………?」
シエルは微睡みながら、後ろから自分を抱きしめるエルヴィドを振り返った。
時刻は22時、夜空には三日月と数多の星が輝いていた。
「ずっと俺のそばにいてよ」
「え…?
ちょ!ぁっ…、待って、エル…っ」
エルヴィドはシエルの服の裾から手を入れ、滑らかな肌に手を這わせた。
敏感なシエルの体は、エルヴィドの指が乳首に少し擦れただけでも快感を拾い、小さな声で喘いだ。
「僕はアル様の所に戻りたい…っ」
「ん〜。それはあまり聞きたくないお願いだなぁ」
「ひぁっ!!エルっ…!」
エルヴィドはシエルの首筋に唇を当て、何度も吸い付き、そこにいくつもの跡を残した。
エルヴィドは行為前の、こういった前戯がとても丁寧だ。
シエルはいつも、その甘い前戯でトロトロにされてから、エルヴィドに優しく抱かれるのだ。
エルヴィドの唇が、シエルの唇に重なりそうになった時、うっとりとした表情で力を抜いていたシエルが、目を見開いてエルヴィドから距離をとった。
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