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第105話
「唇はダメッ……!!」
「え、なんで?」
「初めての…、キ、キスはアル様に捧げるって決めてるから!」
顔を赤らめながら俯き、ごにょごにょと小声で話すシエルに、エルヴィドはブハッと吹き出した。
「あははっ!シエルは本当に可愛いね。夢見る女の子みたいだ。ヴィクトリアと、キスしたことないんだ?」
「き……キスっていうか……、唇が…触れたことはあるけど……っ」
「ん?それってキスじゃないの?」
「僕が死なないように、水を飲ませてくれただけだから…。口移しはキスに含まれないでしょ?」
まだ思い人とのキスをしたことがない、と悲しそうな顔で話すシエルに、キスすることなんてできなかった。
エルヴィドはキス近づけていた顔を離し、シエルを優しく抱きしめた。
「妬けるなぁ…」
「え?」
「何でもない。仕方ないから唇は諦めてあげる。でも、今日もセックスは付き合ってね」
「うん…。エルの好きにしていいよ……」
シエルが力を緩めると、エルヴィドは慣れた手つきでシエルの服を脱がせた。
ベッドサイドのルームライトを消して、二人は今日もまた濃密な一夜を過ごした。
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