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第106話
小鳥のさえずりが聞こえて、シエルはゆっくりと瞼を上げた。
きらきらと庭の池の水が、太陽の光を反射している。
シエルが顔を横に向けると、端正なエルヴィドの寝顔が目の前にあった。
エルヴィドが隣にいるということは、早く起きてしまったんだなと時計を確認すると、やはりまだ朝の6時だった。
シエルもエルヴィドも、お互いに一糸纏わぬ姿で、肌を寄せ合って眠っていたようだ。
もぞもぞと自分にフィットする位置を探し動いていると、シエルはエルヴィドに抱きしめられた。
「シエル?今日は早いね……」
王子様だと人気なだけあって、エルヴィドがシエルに微笑む顔は、噂されるのも納得できるものだった。
シエルは肌の温もりが欲しくて、エルヴィドの体に擦り寄った。
「どうしたの、そんな甘えて。もしかして俺に乗り換える気になった?」
「違う…けど……」
やっと落ち着く位置を見つけたシエルは、そこにくっついて目を閉じた。
エルヴィドはいたずら心で、シエルの下腹部に手をずらした。
「シエル勃ってる」
「エルのも勃ってるよ?」
「そりゃ朝からこんな可愛いことされたらね」
生殺しだと苦笑しながらも、エルヴィドは動かずにシエルの好きなようにさせた。
シエルは位置は変えないまま、エルヴィドの手を握って、指を甘噛みしていた。
まるで赤ちゃん返りしたような可愛い仕草に、エルヴィドは萌えながら、漏れる笑いを抑えるように、もう片方の手で顔を覆ったのだった。
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