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第107話

ガシャーーーーーン!!! 「アッ、アルベール様!!どうかお気持ちを静めてくださいっ!!」 「黙れ!………クソっ、クライトマンの野郎…ッ!!」 「せっかく閉じかけている傷口が、また開いてしまいます!どうか、どうか落ち着きを……!」 ペリグレットの城の中、 ある一室では、八日間も眠っていたアルベールがやっとのことで目を覚まし、使用人も医者も安心して息を吐いた。 しかし、起きるや否や、アルベールは怒りを露わにして周りの物を破壊し始めた。 眠っている間に閉じかけていた大きな傷口も、このままではまた開いてしまうと、医者も使用人も必死に止めるが、今のアルベールに周りの人間は見えていなかった。 「潰してやる……」 爪が皮膚に食い込むほど手を握りしめたアルベールの拳からは、血が滴り落ち、アルベールが纏う恐ろしいほどの殺気に、使用人達もみんな近づかまいと距離をとった。 「アールーベーーールッ!!」 「………………」 「ミリィ様!!」 ピリピリと張り詰めていた空気をぶち壊したのは、自称アルベールの婚約者である、ミリィ=シャーロットだった。

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