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第113話

あの城で、アルベールの性欲のはけ口として使われていたのはシエルだけだと、他の奴隷が教えてくれた。 だから、迎えに来てくれるんじゃないかと、少しばかり期待していたのだ。 なのに実際はこの有様だ。 シエルがいなくなったって、アルベールにはこんなに可愛い婚約者がいる。 この事を知っていたら希望なんて持たずに済んだのに……。 シエルは止まらない涙を何度も拭った。 「あ!もしかしてシエルちゃんったら、アルベールのこと好きなの〜?」 「……っ!」 「あ、当たりだ〜!でもさ、男の子なのに気持ち悪くない?アルベールが最近抱いてるって言ってたの、あなたなんでしょう?でもね、男の子は胸もないし、赤ちゃんも産めないし、体だって硬いし、なにより自分と同じもの付いてたら、さすがに気分萎えるでしょ〜?」 シエルはアルベールに恋してしまった時から、ずっと気にしていたことを、ズバズバとミリィに言いあてられ、どんどん気分が暗くなった。 自分が女の子だったらと、何度願っただろうか。 目の前にいる、しっかりと女の体つきをしたミリィを見たら、抱かれたことに浮かれていた自分が惨めで仕方なかった。 そして、ミリィは、シエルにとってトドメになるような一言を言い放った。 「それにぃ〜、昨日アルベールがあんな奴いらないって言ってたしぃ〜?」 シエルは絶望で目の前が真っ暗になって、気持ち悪さに口を押さえた。

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