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第118話
「あのさ、それヴィクトリアに言われたの?」
「…………さっきの人」
「たぶん、それも嘘だよ。
シエルは胸がなくても可愛い反応するし、肌だってシルクみたいに滑らかだ。小さく震えるペニスだって、十分魅力的だと思うけどね」
「みりょ……?!」
エルヴィドの言葉にシエルはカァッと頬を真っ赤に染めて、隠れるようにエルヴィドの胸に顔を埋めた。
「もう疲れたでしょ?そのまま寝ていいよ」
「で…も………」
まだ何か言いたいことがあるのか、シエルは眠そうにしながらも、話そうと口を開く。
しかし、眠気には勝てずに、シエルの瞼は徐々に閉じた。
「おやすみ」
エルヴィドが近くにあった毛布をかけ、優しく背中をさすってやると、シエルはあっという間に眠りに落ちた。
腕の中ですやすやと眠る、天使のようなシエルの頭を撫でながら、エルヴィドは一人で思い悩んだ。
シエルをどうしてやるかについてだ。
シエルの体か、それとも気持ち、
どちらを優先すればシエルは幸せになれるのだろうか。
その答えはまだ出ていなかった。
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