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第124話

そして、エルヴィドは20歳になり、 正式にティエンヌの王となった。 あれから二年経っても、シエルは見つからなかった。 やはり、幼い彼は絶望や飢餓で、死んでしまったのかもしれない。 「エルヴィド様、そろそろ出発なさらないと…」 元奴隷である使用人が声をかけてきた。 今日は、100回記念のヒューマンオークションだ。 エルヴィドはマリアに似た奴隷を見つけるたびに、多額を積んで競り落とし、そして、帰国してからティエンヌの住民として解放している。 もちろん、ここで仕えたいという子は今でも使用人として働いてくれているのだが。 マリアに似た女性を、他の男に渡したくなかった。 奴隷なんか、そんな穢らわしい名称を与えたくなかった。 ただのエゴだと言われるかもしれない。 エルヴィドは、マリアがこの世にいなくても、彼女のことを忘れられず、そんな行為を続けていた。 度々オークションで美人な奴隷を買い占めることから、エルヴィドはチャラくて女好きやら、ティエンヌの城は性奴隷で溢れているやらと、他国ではエルヴィドの根も葉もない噂で溢れかえっている。 噂を否定するのが面倒で、話し方もヘラヘラとした気だるい感じにしているが、英才教育を受けてきているため、実際は割と温厚な話し方だ。 今更直す気などないのだが…。

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